A: 個人の場合、債務整理の方法には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの手続があります。
「任意整理」とは、消費者金融等の貸金業者と専門家が話し合いをして和解金額を決めます。交渉内容は、借金の金利を利息制限法の上限(15〜20%)まで引き下げて再計算し(これを「引き直し計算」といいます)、払い過ぎた金利分を元本に充当させ、減額した元本を3年〜5年程度で分割して返済するように話し合います。このようにして借金を完済するまでの道すじを計画するお手伝いをする手続きです。
次に「個人民事再生」とは、自宅・マンション等の資産を手放すことなく、大幅に減額された借金(減額の程度は、借金の額、持っている資産によって異なります)を原則として3年で分割して返済していくという手続です。減額後の借金を完済することにより、その他の借金については法律上返済する義務が免除されます。?
最後に「自己破産」というのは、借金を返すためお金に換える財産を持っていない人が、返済時期が来ても、すべての借金を返済することができない状態にあること(これを「支払不能」といいます)を裁判所に認めてもらい、法律によって本来返さなくてはならなかった借金を免除してもらう制度です。
自己破産をすると原則としてすべての借金の返済義務がなくなりますので、もう借金に追われることなくすべての収入を生活費に充てることができるようになります。
A:以前は、家を売却しなければならない「自己破産」か、借金の減額幅が小さい「任意整理」しか債務整理の方法がありませんでした。そのため住宅を所有していて多額の借金を抱えている場合には、適切な方法がありませんでした。
上記のような問題により、2001年4月「個人再生手続」が施行されました。この手続きによれば住宅を維持しながら借金を大幅に減額して整理することが可能です。
よって、借金が高額な場合には「個人再生」を、借金が少額の場合には「任意整理」を利用することで住宅を維持しながら借金を整理することができる選択肢が増えました。
A:自動車は、「個人再生・任意整理」では処分されませんが、一定額を超える自動車の場合、「自己破産」では処分されてしまうのが原則です。ただし「自己破産」の場合も、自動車を家族等の第三者に適正価格で買い取ってもらうことにより、自動車を事実上維持することが可能な場合もあります。
ただし自動車をローンで購入し、そのローンの返済が残っている場合には、自動車の所有権はローン会社に留保されていますので、いずれの手続であっても原則として自動車は処分されてしまいます。
自動車の取扱いについては、自動車の価値、ローンの有無・残高、選択する手続によって異なりますので、司法書士に問い合わせることをお勧めします。
A:勤務先から借入れがないのであれば、「任意整理」であれば借金の事実を知られてしまうことを心配する必要はないでしょう。「自己破産」や「個人再生」をすると官報という国が発行する新聞のようなものに掲載されるので、それを偶然会社が発見するということは否定できません。
ですが、直接通知がいくわけではないので、発見される可能性は非常に低いといえます。
破産手続中に、裁判所や司法書士から勤務先に連絡が行くことはありません。
勤務先から借入れがある場合は、「任意整理」であれば整理の対象から勤務先を外すことができますが、「自己破産」や「個人再生」の場合には勤務先を借入先の一つとして手続きを進めるため、秘密にすることはできません。
また、同居の家族がいる場合、「任意整理」であれば基本的には秘密にしておくことは可能ですが、「自己破産」や「個人再生」の場合は同居人の収入証明書等を提出する必要があるため秘密で進めることは難しいでしょう。
借金の整理を円滑に進めるためには、借金の現状について家族の理解と協力を得ることが重要になりますので、出来る限り借金の事実は打ち明けたほうがよいでしょう。
A:官報とは、法律・政令等の制定・改正の情報や、破産・相続等の裁判内容が掲載される国が発行している新聞のようなものをいいます。官報は、国立印刷局が、行政機関の休日を除き、毎日発行しています。
また、官報は、日本主要都市にある「政府刊行物サービスセンター」や各都道府県の県庁所在地にある「官報販売所」で販売され、発行日には国立印刷局の掲示板や官報販売所の掲示板に掲示されます。また、過去1週間の官報は、インターネットのウェブサイトで閲覧することもできますので、誰でも見ることが可能です。
「自己破産」・「個人再生」をすると、官報に氏名・住所等が掲載されることになります。しかし、官報を購読している一般の方はほとんどいませんし、官報には毎日数百人もの情報が掲載されますので、その中から特定の個人を探し出すことは非常に困難です。したがって、官報から家族の方に自己破産・民事再生の事実を知られることはほとんどありません。また、任意整理では官報に掲載すらされません。
A:おすすめしません。
おまとめローン(借金の一本化)とは、多重債務者が銀行などから低金利で貸付を受け、そのお金で他の貸金業者の借金を完済することにより、借金をその銀行などに一本化することをいいます。銀行は、貸金業者等に比べて非常に低い金利で貸付を行いますので、一見すると借金の一本化は金利を安くする上で非常に効果的であるように思えます。
一本化するには他の貸金業者等に対して利息制限法を超えた金利を返済しなければ完済になりません。完済するには将来発生する金利を現時点で全額支払う必要があります。
これに対し、「任意整理」をした場合には、利息制限法の上限金利に引き直し計算を行い、これまで返済した超過金利分は全て元本に充当されるため、金利を返済しすぎるということがなくなります。また、「任意整理」では、原則としてその元本のみを返済すればよく、将来の金利は返済する必要がありません。
そのため、「任意整理」は借金の一本化に比べ、これまで返済しすぎた金利を全額回収できる点、将来の金利を返済する必要がない点で有利であるといえます。
A:これには、借り方・返し方などにより個人差があります。一般的には、借入期間が7〜8年で過払いが発生すると言われています。
しかし、2007年頃から貸金業者が法定利息に引き下げて貸し出しをしている場合もありますので、借入期間だけで過払いが発生するかどうかの判別は難しいです。
尚、当事務所では過払金があるかどうかの調査も承っておりますので、ご相談ください。
A:結論から申しますと「過払い請求は可能」です。
2006年12月13日、貸金業法の改正により、出資法の上限金利が20%に引き下げられることが決定しました。そのため、改正貸金業法の完全施行日である2010年6月18日を目途にグレーゾーン金利が撤廃された後の借入は、金利が利息制限法の法定金利の範囲内であるため、過払い金が発生することはありません。
そうすると過去に高い(違法な)金利で支払いをしていた分について、過払いの請求はできないのではないかとやり過ごしてしまう方もいるようです。
A:こちらも結論から言いますと、「過払い請求は可能」です。
クレジットカードのキャッシングは、サラ金とは違い高い金利の貸付ではないとう認識(適正な金利だ・過払いの請求は出来ないなど)の方もいらっしゃいますが、高い金利で貸付している場合もありますので、双方一緒です。
A:できます。ただし、個人の方のお借入の場合は10年、会社名義で商法の適用がある場合は5年で消滅時効(しょうめつじこう)により請求が出来なくなります。また、貸金業者が倒産してしまうと過払い請求は出来なくなります。
A:過去に返し終わった後(≒完済後)であれば、現在は信用情報機関には登録されません。
ちなみに、借金返済中に「任意整理」したけれども結果的に債務が残ってしまった場合には事故扱いになりますが、「任意整理」した結果すでに債務はなくなり過払金が戻ってきた場合、一旦は登録されますが、最終的には事故扱いにはなりません。
A:大手業者の場合は、契約書等の資料がなくてもほとんどの場合に取引明細が開示されますので、開示された資料に基づき過払い金の請求が可能です。
A:任意整理は、原則として3年間(36カ月)で法定利息まで減額された元本を月々返済していく手続です。
そのため、法定利息まで減額された元本を36(カ月)で割った金額が、月々返済に当てられる金額よりも下回れば、任意整理を選択することが可能です。
また、任意整理は今後借金を返済していく手続ですので、安定した収入を得ている必要があります。
A:基本的には使用できなくなります。
ただ、介入していない貸金業者に滞りなく返済している場合は、貸金業者が信用情報登録を確認しないため、一時的にカードが使用できるケースがあります。もっとも、カードの更新時期には通常信用情報登録を確認すると思われますので、どこかの時点ではカードは使用できなくなると考えられます。
A:連帯保証人であれば、その債務を連帯保証人が弁済する義務がありますので伝える必要がありますので、事前に保証人に事情を説明した上で行う方が良いでしょう。
どうしても保証人に迷惑をかけたくない場合、任意整理では債権者を選択できますので、通常通り弁済することもできます。迷われましたら、まずはお気軽にご相談ください。
A:個人再生は一定の収入がある方が対象になります。マイホームを手放さずに済むというメリットがありますが、「住宅ローンを除く借金の総額が5000万円を超えないこと」と、「安定的な収入が見込めること」 が要件となっています。
A:個人再生では、ローン中の車があればローン会社を含めて処理する必要があります。
車を手元に残したい場合は、任意整理などを利用した方がいいでしょう。
A:民事再生と任意整理は、自己破産と異なり、財産処分や資格制限がないという点で共通しています。しかし、両者は(1)借金の減額幅と(2)債権者選択の可否の2点で異なります。
まず、民事再生をすると、借金が大幅に減額されることになります。これに対し、任意整理では、借金が利息制限法の上限金利(15〜20%)まで減額されますが、通常は民事再生に比べ、減額幅は小さくなります。
次に、民事再生は裁判所を通じて法的に借金を減額するため、すべての債権者を対象としなければなりません。これに対し、任意整理は裁判所を通さずに行う私的な整理方法であるため、整理する債権者を任意に選択することができます。
A:自己破産をした場合、自己破産の手続中(3〜6ヶ月程度)に一定の職種に就くことが制限されます(これを資格制限といいます)。
保険募集人や警備員などの職種については、他人の財産を管理する職種内容であることから、資格制限を受けます。
しかし、公務員については、人事官のような特殊な職種を除き、自己破産による資格制限はありません。そのため通常は自己破産をしても公務員を辞める必要はありません。
A:旧商法では、自己破産を申し立てて免責が確定するまでの間は取締役になることができないと規定されていたため、自己破産をする方が会社の取締役をしている場合、自己破産の手続中は取締役を辞任しなければなりませんでした。
しかし、2006年に新会社法が施行し、この規定が削除されたため、会社法上は自己破産を申し立てて免責が確定するまでの間であっても取締役になることができるようになりました。
もっとも、会社と取締役との委任関係を規定している民法では、自己破産が委任契約の終了事由として規定されていますので、自己破産をする方が会社の取締役をしている場合には、自己破産の申立後に再度会社から取締役に選任される必要があります。
A:借金が、ギャンブル・極端な浪費による場合やだまして借りた場合などは、責任が免除されません。
そのような場合は、裁判所を通さない任意整理をするか、民事再生手続きを検討することになります。
ただし、ギャンブル等による借金の場合でも、一定の金額を支払うことによって、免責決定を得ることが出来る場合もあります。
A:銀行が債権者のひとつである場合には、破産申立通知の同銀行到着により、預金残高を引き出すことはできなくなります(これは債務と相殺されてしまうためです)。
銀行が債権者ではない場合には、預金したり公共料金の引き落としなどの取引は通常どおりできます。
ただし、同銀行の口座からクレジット会社の引き落としがされているような場合には、破産申立通知後も引き落としがされる場合がありますのでご注意ください。
このようなときは、給料の振込口座を変更することをお勧めします。
A:基本的には、当事務所の預り金口座に振込みでお支払いいただいております。
※分割払いの場合「債務整理開始通知」を債権者に出すと債権者への支払いが止まりますので、その後に費用を入金していただきます。
A:ご安心ください。当事務所では、費用の分割に応じております。その際には、生活の立て直しをしながら無理のない支払方法をご提案いたします。
また当事務所は、相談は無料ですので費用が用意できないからと言って相談することをためらわないでください。
A:当事務所は開業以来、相談は無料でお応えしております。
A:まず、ブラックリストというリストは実際には存在しません。一般的にブラックリストと呼ばれているものは信用情報機関の事故情報のことをいいます。返済に滞りのない通常の情報をホワイト情報、返済が滞った事故情報をブラック情報ということからこのような俗称がついたと言われています。
信用情報機関とはクレジットカードの利用状況やキャッシングの借入れ状況を把握する為に作られた機関です。この機関ではお金を借りている人の個人情報が集められてデータベース化されています。借入れの申し込みがあると、金融機関はこの信用情報機関の登録情報を参照して貸しても大丈夫かどうか審査するのです。
信用情報機関は主として以下の3つの機関があります。
A:総量規制とは、貸金業法の改正により、平成20年6月18日に完全施行され、「総借入金額が年収の3分の1を超える」ことが原則禁止されることになりました。(このことを「総量規制」といいます。)
このため、収入によって、借入できる限度額が制限されることになります。
総量規制が始まるとどのようなことが起きるのでしょうか?
A:住宅ローンや自動車ローン(※)は、総量規制の適用除外となっています。したがって、住宅ローンや自動車ローンがあるため、借入残高が年収の3分の1を超えていたとしても、総量規制には抵触しません。
※住宅ローン、自動車ローンについて
住宅ローンや自動車ローンのうち、貸し手が銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協等の金融機関である場合、そもそも、貸金業法の適用がある貸付けではないため、総量規制は適用されません。
A:貸金業者からの借入残高のデータは、厳格な情報管理のもと、「指定信用情報機関」に集められることとなっています。貸金業者は、指定信用情報機関を利用し、借り手の借入残高を把握します。
また、借り手の年収については、基本的には「年収を証明する書類」を借り手から受け取ることで、把握する仕組みとなっています。
A:一般的に、住宅等を購入するために金融機関等でローンを組むと、それに関係する不動産に抵当権等の担保権の設定を行います。
そして、事情により住宅ローンの返済が困難になったときには、金融機関はその担保権にもとづいて不動産を競売にかけ、その売却代金で貸したお金の回収を行います。
しかしながら、実際には競売の手続きは、売却されるまでに時間がかかり、その売却価格も市場価格を下回る場合がでてきます。
そこで、第三者が買主を確保し、金融機関等と債務者との間に入って交渉を行い、競売手続きとは別に売却手続きをすすめていくことがあります。これを任意売却といいます。
各当事者の話がまとまれば、競売手続きは取り下げられ、普通の売買手続きとあまり変わらない流れで完了します。
交渉に当たる第三者は不動産会社が多く、それも任意売却を専門に扱っているところが多く見られます。
任意売却をお考えでしたら一度ご相談してみてください。
A:任意売却のメリットとデメリットは以下の通りです。
●任意売却のメリット
A:一般的な任意売却の流れは以下の通りです。
売却手続きは、任意売却専門の不動産仲介業者に依頼します。
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